診療科

乳腺・頭頸部外科

当院での乳癌手術

乳房温存手術

乳房内でがんが比較的限局していて(超音波、マンモグラフィー、MRIで調べる)、がんをすべて取り除くのに乳房全部をとる必要がない方、そして美容的にも満足できる乳房が残すことが可能な方が適応です。

当科の手術では美容面を考慮し、傷が目立たないように、①腋・②乳房下側の折れ目や・③乳輪皮膚の境界線を切開します。

残った乳房内の再発を防ぐために、術後放射線治療が必要です。


乳房全摘術

乳房内に広範囲に広がった乳がんの方が適応になります。

乳房再建術

乳房切除をする方を対象にして、乳房の切除と同時に(1期再建)あるいは後日(2期再建)に乳房を作る手術が可能です。再建の方法も、人工物を入れる方法から、自分の筋肉や脂肪を使って再建する方法などがあります。

当院で乳房再建手術を受けることができます。大阪市立大学医学部付属病院の形成外科学教室所属の非常勤医師と協力して行います。

腋窩リンパ節郭清

手術の前の検査で腋のリンパ節に転移がある方では、がんの取り残しがないように、すべてのリンパ節を切除します。術後、しばしば手術側の腕に後遺症が残ります。腕が上がりにくい、むくみやすい(リンパ浮腫)、腋や上腕内側の感覚異常といった症状が問題となります。

センチネルリンパ節生検

手術の前の検査で腋のリンパ節にがんの転移がないと思われた方が適応になります。乳房から最初にたどり着くリンパ節に転移がなければ、腋のリンパ節をそれ以上とらない方法です。腋窩リンパ節郭清を避けることにより、手術後の後遺症を防ぎます。

放射線療法

温存乳房への照射

乳房温存療法の後は、残った乳房に放射線治療を行うことを基本としております。放射線治療は通常週5回施行し、5-6週間かかります。1回の治療に要する時間は数分ですので、外来での通院治療が十分に可能です。

乳房全摘後の照射

乳房全摘術を受けられた方は、通常放射線治療が必要ありません。ただし、腫瘍径が5cmを超えていた方やリンパ節転移が4個以上あった方は、乳房全摘をしても生存率向上のために放射線治療がすすめられます。

再発乳癌に対する放射線治療

放射線治療は、再発・転移された方にも使うことがあります。再発・転移乳癌は全身治療が基本になります。放射線治療を行う場合は局所のコントロールが目的になります。強い痛みを伴う骨転移などに放射線治療を行うことで症状が和らぐことが期待されます。

手術後も再発治療でも同じですが、放射線治療はホルモン療法やハーセプチンと同時に行うことはありますが、乳癌では原則として化学療法と放射線治療を同時に行うことはありません。

乳がん薬物療法

乳がんでは、がん細胞がタンポポの綿毛のように体内のあちこちへ飛んでいき、手術後もどこかに隠れていることが少なくありません。こうしたがん細胞を根絶する目的で、術後に薬物療法を行います。

また、手術が困難な進行乳がんや、しこりが大きくて乳房温存手術が困難な乳がんには、がんを縮小させて手術を可能にする目的で、術前に薬物療法を行うこともあります。乳がんの薬物療法には、主に「抗がん剤」、「ホルモン剤」、「分子標的治療薬」を用いた治療法があります。

乳がんは、ホルモン受容体、HER2受容体、がん細胞の増殖活性という3つの要素によって、大きく5つのタイプに分類することができます。それぞれのがんの性質が異なるため、治療には各タイプにあった薬物療法が選択されます。

乳がんのタイプを判定するには、以下の3つの要素があります。

乳がんの5つのタイプ

乳がんの5つのタイプ 判定要素 タイプに適した薬物療法
ホルモン
受容体
HER2
受容体
がん細胞
増殖活性
ホルモン受容体陽性・HER2陰性タイプ (ルミナルA) 陽性 陰性 低い ホルモン療法(※1)
ホルモン受容体陽性・HER2陰性タイプ
(ルミナルB・HER2陰性)
陽性 陰性 高い ホルモン療法
±
化学療法
ホルモン受容体陽性・HER2陽性タイプ
(ルミナルB・HER2陽性)
陽性 陽性 ─(※2) ホルモン療法

分子標的治療

化学療法
HER2陽性タイプ 陰性 陽性 ─(※2) 分子標的治療

化学療法
ホルモン受容体陰性・HER2陰性タイプ
(トリプルネガティブ)
陰性 陰性 ─(※2) 化学療法

※1 ホルモン受容体陽性・HER2陰性タイプ(ルミナルA)の乳がんでは、リンパ節転移の状況により、ホルモン療法に加えて化学療法が考慮される場合もあります。
※2 このタイプの乳がんでは、がん細胞の増殖活性の程度は問いません。