●気胸
■気胸とは?
気胸は肺の一部が破れて胸腔内に空気が溜まる病気です。重症の場合は肺が完全に虚脱し(ぺしゃんこになる)、さらに反対側の肺までも押しやられ、強い呼吸困難や血圧低下が生じる(緊張性気胸)こともあります。
張性気胸例
若年者の自然気胸は、通常肺の一部にできた風船状のブラが破裂して起こるもので、約5:1の割合で男性に多く、特に長身で痩せ型の体型の人に多いものです。
外傷性気胸は、胸部の強い圧迫や折れた肋骨で肺が傷ついて起こります。
高齢者に起こる気胸は、肺気腫と呼ばれる肺全般がもろくなった結果、肺が破裂して起こるものが多いです。
■胸腔ドレーン
肺虚脱の強い場合は、通常まず胸腔ドレーンを留置し胸腔内に溜まった空気を排除し、肺を拡張させます。
胸腔ドレーン留置後
■胸腔鏡下手術
手術では、原因となったブラの切除が原則となります。
従来は腋窩開胸と呼ばれるわきの下を15cmくらい切開し、肋骨の間を広く押し広げて行う方法が主流でしたが、術後の痛みが強く、また大きな傷跡が残ります。
そのため、従来は再発気胸に対し手術が行われることが多かったのですが、再発率が高く(30%~40%)、低侵襲の胸腔鏡手術が可能になり、初発例にも手術が行われることが多くなってきました。
手術は、1cm前後の創3ヶ所で行います。ブラが明瞭に判別できる場合は、これらを切除します。ブラが不明瞭な場合、壁側胸膜を部分切除し、癒着させて再発を防止します。
胸腔鏡でみたブラ | 切除されたブラ |