コラム
自己血輸血
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輸血は以前より手術時の失血の補充や各種の治療目的で数多く実施されてきました。
輸血用血液は献血により得られ、血液センターで保管管理され、医療機関からの要請に応じて使用されてきたわけです。しかしながら、輸血の副作用や合併症を完全に防止できないのが現状です。
代表的な副作用や合併症として、輸血後の感染症(主としてC型肝炎など)、アレルギー反応、溶血反応、免疫抑制などがありますが、その他、非常にまれですが、輸血後移植片対宿主病(GVHD)があります。GVHDは一旦発症すると致命的になる可能性が高く、輸血をする側も細心の注意が必要であると考えられます。
こういった合併症や副作用を予防するために現在、全国的に「自己血輸血」が推奨されており、当院でも「自己血輸血マニュアル」を作成して積極的に取り組んでいます。
「自己血輸血」とは予定された手術に輸血が必要であると想定される場合に行われ、次の三つの方法があります。
- 術前貯血式自己血輸血
- 希釈式自己血輸血
- 回収式自己血輸血
当院では主に一、の方法を行ないますが、術前に患者さま本人から採血(採血量は800~1200cc程度)し、当院で保管管理し、手術中に使用する方法です。心臓や大血管は大量の血液が流れていますので、それらの部位の手術では回収式自己血輸血とともに貯血式自己血輸血も適用されます。
他の手術でも自己血輸血が用いられる場合があります。ただし、貧血や全身状態により自己血輸血ができない場合がありますのでご了承ください。
採血は原則として、入院して行なっています。