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くすりの基礎知識

【カテゴリー】コラム

くすりの効果が現われるには、薬剤が必要な濃度で患部に到達し、一定の時間、作用しなければなりません。そこで、くすりの使用にはどんな注意が必要なのかまとめてみました。

【くすりはどのように使用するか】
  • 局所使用―使用した局所で薬剤が作用を発揮するなら、たいへん有効です。そのような使用法には、クリーム、軟膏、ローションなどの皮膚外用薬、点眼薬、点鼻薬(抗アレルギー剤など)、肛門坐薬(痔の薬など)、膣坐薬(抗真菌剤など)、うがい薬・トローチ、吸入剤(気管支拡張剤など)、内服薬のうち胃粘膜保護剤、整腸剤などと、湿布薬(皮膚から薬剤が吸収され近くの部位で作用する)などがあります。
  • 血液中に吸収される―薬剤が腸管、皮膚、粘膜などから吸収されて、血液を介して作用する部位まで運ばれます。その代表として内服薬、注射薬(皮下注射、筋肉内注射、静脈注射)がありますが、そのほかに、舌下錠(冠拡張剤など)、点鼻薬(抗利尿ホルモン、抗性腺刺激ホルモンなど)、肛門坐薬(解熱鎮痛剤など)、膣坐薬(子宮収縮薬など)、皮膚貼付薬(冠拡張剤、女性ホルモン剤など)もあります。

このように点鼻薬、坐薬といっても、局所で作用するものと、血液中に吸収され全身に運ばれて作用するものとがあるのです。

【くすりを飲むタイミング】

内服薬をいつ飲むのがよいのか、ということは、その薬剤の性質、吸収がよいかどうか、体内にとどまる時間などによってきまります。

  • 一日に一回ないし二回服用するこのくすりは一般的に、血液中に長くとどまる性質を有し、効果の持続時間が長いため一日一回、または二回の服用でよいのです。錠剤の中には、ゆっくりと溶けていくうちに徐々に薬剤を放出(徐放錠)するため、飲む回数が少なくてもよいものもあります。このグループの薬の中には、利尿剤や睡眠剤のように、効果を発揮する時間を考えて、いつ飲むかがきめられているものもあります。
  • 一日に三回服用する血液中の薬剤を有効濃度に保つために、一日に三回飲むように指示されている場合は、8時間毎に飲むのが正しい服用法です。朝と眠前とその中間で飲みましょう。薬剤の性質から、それほど厳密に時間を定めなくともよい場合は、多くの場合、食事毎に飲むよう指示されています。
  • 一日に四回ないしそれ以上の回数飲むくすりが血液中から早く消えてしまうものは、飲む回数を多くしなければなりません。抗生剤の中には一日に四回、また抗ウイルス剤では一日に五回飲むものがあります。
  • 食後に服用する薬剤が胃腸の粘膜を刺激することが多いので、食後で胃腸に内容物がある時に飲んで、それを避けようとします。だから、食事をとらなかったからといって食後薬を飲まないと、一日の薬剤量が足りなくなって効果が現われません。食事をしない時には、牛乳や多めの水とともに薬を服用してください。錠剤の中には胃では溶けずに、腸で溶けるよう工夫されているもの(腸溶剤)もあります。
  • 食前・食間に飲む空腹時に飲む薬剤には二つ意味があります。一つは、胃酸の中和剤や、胃腸の粘膜に直接作用する薬剤です。食事内容が存在すると、薬剤の働きが妨害されるからです。他の一つは、食事内容と一緒では吸収が悪くなる薬剤です。漢方薬は、単一の化学薬品ではなくて植物の抽出物ですから、食事内容と一緒になると全体として吸収の割合がきまってきて、それだけ効果が低くなります。だから食前30分に飲むのが普通です。一般的に、食後に飲むよう指示されている薬を空腹時に飲むと、吸収がよくて時には効きすぎることもあります。

このように薬を飲むタイミングは、その薬の性質や使用目的にあわせてきめられています。 よい効果を期待するためには、飲み方をまもることが大切です。